ブログ「タイマッサージの真実」 - 最新エントリー

タイマッサージの起源

カテゴリ : 
タイマッサージの歴史
執筆 : 
camel 2008-10-29 15:09
ワットポーのテキストと、トリガーポイントマニュアルの奇妙な一致。 これをどう説明したらいいのだろう? そんな疑問を持っていた頃、浪越徹著「完全図解指圧療法」という本が手に入った。その本を開いてまた驚いた。タイマッサージで習う指圧ポイントとほとんど同じではないか。 日本の指圧は1939年頃に浪越徳治郎という人が確立した手技療法である。浪越氏が0から作り出したわけではない。それまでにも鍼灸やカイロプラティック、按摩や指圧療法は様々な流派で行われていた。浪越氏はそれらの知識を独自の視点で取捨選択し、更なる研究と改良を加えて指圧療法として体系化したのだ。指圧は世界的に評価が高く、トリガーポイント研究者も知らないわけはない。鍼灸や指圧がなぜ治療効果をもたらすのか、その後付け理論としてトリガーポイント理論がある。サイモンとトラベルがトリガーポイントマニュアルを発行したときにはトリガーポイントの治療法としては注射で薬剤を注入するのが有効としていた。その時点では指圧や鍼に対して否定的だった。指圧や鍼もトリガーポイントに対する有効な治療法であることを主張したのは後の研究者である。彼らが、トリガーポイント療法の臨床効果を示すのに指圧の知識を自分の著書に取り入れたとしても何の不思議はない。 そしてワットポー。1991年に手技を再構成する際にトリガーポイント理論や指圧の知識を参考にしたことは十分考えられる。なぜなら、タイマッサージ復興プロジェクトのひとつの目的は、西洋医学との接点を作ることで東洋医術としてのタイマッサージの有効性に信憑性を与えることだったからだ。 人体についての知識、そして医学的な知識は著作権や特許で保護すべきという次元ものではない。すべての知識を相互に利用し、助け合うべき人類共有の財産である。日本の指圧、中国の漢方、西洋の医学、そしてタイの伝統医療、これらは長い歴史の中で相互に知識を交換しながら発展してきた。今ではタイ厚生省は、タイマッサージをタイ古式マッサージとは言わない。タイマッサージも日々進化しているのだ。 「タイマッサージのルーツは指圧である」 という単純なものではないが、浪越氏がまとめた指圧の知識がタイマッサージにも何らかの形で伝わり、生かされていると考えるのは間違いではないだろう。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (3155)
タイマッサージを習うのにチェンマイに行く人が多い。バンコクにもワットポー、ピシット、プッサパといった日本人にも通いやすい学校はある。ではなぜチェンマイなのか。

まず、とにかく安く上がることが大きい。今ではワットポー本校の30時間コースでも8500バーツである。昨今の円高で今日現在、1バーツ=2.9円となっているのでかなり割安感は出てきたが、それでも25000円になる(十分安いのだが・・・)。チェンマイでは例えばワンディだと60時間で4000バーツなのでワットポーの四分の一である。そして滞在費も安い。バンコクにも安宿はあるが、都会なので女性が一人で泊まるのは何となく怖い。チェンマイの安宿は周辺の雰囲気がのんびりしていて安心感があるし、散歩をするのも気持ちがいい。

チェンマイは観光地だというイメージも大きい。治安も良さそうだし、観光を兼ねて長期滞在できるというのは魅力だ(実際は、寺院とジャングルくらいしかないので、そんなに楽しいわけではないのだが・・・)。

決定的なのは、スクールの選択肢がたくさんあることだろう。大きな学校ではオールドメディソン、ITM、ワットポーチェンマイ校、中規模な学校でTMC、ロイクロ、ニマンヘミン、小規模な学校でワンディ、レックチャイア、ママニット、マニアックな学校でピシェット、サンシャインという名前がすぐに挙がる。チェンマイこそタイマッサージのメッカかと思ってしまうのだが、実はどの学校も外国人向けということを強く意識しているので、タイ人の生徒は余りいない。タイ人はもっと安い厚生省のセミナーに通ったり、働くお店で習ったりするので(タイ人にとっては受講料が高い外国人向けの)スクールには通わないのだ。

バンコクのワットポーは、タイ人向けには外国人の半額程度で教えるのでタイ人だらけである。だから、たくさんのタイ人と仲良くなって、昼食を共にしたりしながら楽しく習うならワットポーである。

話が逸れてしまったが、何が言いたかったかというと、外国人向けとはいえ、チェンマイが現在のようにタイマッサージのメッカになったのはシントーン氏の功績によるものである。数年前に大変残念なことにお亡くなりになったが、チェンマイスタイルマッサージはシントーン氏の作品であり、ワンディ先生もピシェット先生もITMのチョンコル先生もロイクロのクッキー先生もニマンヘミンのタノン先生も皆シントーン氏のオールドメディソン出身である。ピシェット先生(バンコクのピシット先生とは別の人物)にはどうやら別の師がいたらしく、今ではよりアクロバティックで宗教的なマッサージワールドを繰り広げているらしいが、オールドメディソンがなければ現在のピシェット先生はいなかっただろう。

一人でこれだけの文化を築き上げたシントーン氏、もっと評価されるべき偉人だと思う。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (6870)

ワットポーの日本人教師

カテゴリ : 
タイマッサージスクール
執筆 : 
camel 2008-10-27 22:43
バンコクにあるワットポー・タイトラディショナル・マッサージスクール。ここに、日本人教師がいるのをご存知だろうか。

宮原由佳さん。ワットポー初の外国人教師である。

ワットポーに限らず、タイのマッサージスクールは外国人を本格的に育成することに慎重である。タイ政府の方針で知的財産の国外流出を恐れているからだ。そんな状況で、宮原さんはワットポーの教師となった。そこに至るまでにはもちろん、筆舌に尽くしがたい苦労があった。

私もお会いしたことがあるワットポー・スクールの理事長、そして現在、経営を取り仕切る理事長のご子息のセラート氏。お二人とも気さくで聡明、素晴らしい方だが、その二人から宮原さんは絶対的な信頼を得ている。

それは宮原さんに会えばわかる。私利私欲のない、大変素晴らしい人柄の方だ。もともとは日本で教師をやっていたのだが、旅行でタイを訪れたときに、タイマッサージと出会い、基礎コースを終えて帰るつもりが何か運命的なものを感じて、これは徹底的にやらねばならないと思ったそうである。そして、長期滞在を決心し、理事長に頼み込み、ワットポーでマッサージ師を勤めながら技術を何年もかけて磨いてきた。マッサージ師の収入は日本人の感覚からすれば大変低い。そんな状況で、異国の地で、一生懸命、タイマッサージを学んできたのだ。その姿を見れば、理事長もセラートさんも認めざるを得ない。こうして、外国人として初のワットポーの常任教師となったのが宮原さんである。

タイ語はもちろんペラペラ。マッサージの技術は天下一品である。ワットポーで事前に宮原さんを予約すれば誰でも通常料金でやってもらえる。それで私も何度かお願いしたのだが、タイの先生以上にすさまじいレベルである。まず指が違う。外見は美しい華奢で色白な女性なのだが、指が体に触れた瞬間からこれは違うと思い知らされる。非常に力強く、そして静かに体に入ってくる指だ。それに、日本人の細やかさが加わるので、もう何も言うことはない。天国にいる気分を味わえる。

先生としても、多くの方に施術してきたので何かをつかんだという事だ。日本語でその奥義を解説してもらえるのでワットポーで習うなら是非とも宮原さんを先生に指名すべきである。もし、スケジュール的に難しければ施術だけでも受けなければ損だ。あれだけの技術が、あんな料金で受けられるというのは信じがたいことだと断言できる。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (5661)

タイマッサージの起源

カテゴリ : 
タイマッサージの歴史
執筆 : 
camel 2008-10-26 22:41
タイマッサージに限らないことだが、実は、マッサージがどう体にいいのかは医学的によくわかっていない。肩こりや腰痛は命に関わる病気ではないので優先順位として対象になりにくかったからだ。

だから、鍼灸もマッサージも効果があることはわかっていても、それが科学的にどういう作用をもたらしているかは謎だった。

先日、NHKスペシャルで腰痛などの痛みは精神的なことが原因になりうるという驚きの医学的知見を伝えていたが、肩こりや腰痛のような外面的な痛みはその他に色々なことが原因となる。色々なことが原因となり、色々なことが症状改善に効果があるので話がややこしくなる。

その中で、ひとつの有力な仮説がトリガーポイント理論である。トリガーポイント理論はアメリカの医者であるサイモンとトラベルが1983年に出版したトリガーポイントマニュアルで世に出た。

トリガーポイント理論についての説明はまたの機会に譲るが、これまで西洋医学の世界では無視されてきた筋肉の痛み、そしてその治療法についての初めての理論的な仮説であり、その内容が意外であると同時に非常に説得力があったため、鍼灸治療師やカイロプラティック治療師からも支持を得、今日現在、鍼灸マッサージ療法のバイブルとなっている。

しかしながら、今でもトリガーポイント理論で説明できない症状や治療法は多々あり、人間の体というのは実に複雑で、いろいろなことが原因で不調になることがわかっている。前述した精神的なことが原因になるというのもつい最近わかったことなのだ。

それを踏まえた上でトリガーポイントに戻る。トリガーポイントについての本はたくさんあるが、実用的なのは「トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル 」だ。この本は痛みの症状別にトリガーポイントを図で示し、そこを指圧すると症状が改善することを示している。

その本を見ていて、なんとなく前に習ったワットポータイマッサージスクールの治療マッサージのテキストを開いてみた。

あれっ? ここが痛いときはここを指圧する、ワットポーのテキストはそういう感じで構成されているのだが、なんと、「トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル 」に記されている症状と指圧ポイントと異様なまでに一致していることに気がついた。

これは偶然ではない。どちらかが盗んでいる。そう思わざるを得ない一致である。

続く


  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (3291)

タイマッサージの起源

カテゴリ : 
タイマッサージの歴史
執筆 : 
camel 2008-10-25 10:22
タイマッサージの世界でシワカ・コモラパと並んで重要なのがオンナモである。タイのマッサージスクールの壁にはシワカ・コモラパの肖像画、そして毎朝レッスンが始まる前にオンナモという呪文を唱えるのが定番だ。

on namoで何を唱えているかと言うと、シワカ・コモラパさまにお仕えいたします、力をお与えください云々である。

一体いつからこの風習は始まったのか。

「タイ・マッサージの民族誌―「タイ式医療」生成過程における身体と実践」によると、チェンマイのオールドメディソンホスピタルを創設したシントーン氏が始めたらしい。今でもオールドメディソンホスピタルにはシワカコモラパの祠があり、毎朝生徒がお祈りを捧げている。この祠は近年建てかれられたものだが、シントーン氏がオールドメディソンホスピタルを設立した時に、同様の祠(神棚)を作ったのが起源だとされる。シントーン氏のタイマッサージはワットポー、理容院、病院の知識を元に何年もかけて練り上げたものだが、それだけでは権威が足りない。シワカ・コモラパから続くという歴史、根拠を与え、更に仏教的な神秘性を加えることで大変有難いものだというイメージを作ったのだという。確かに中国漢方もインドアーユルヴェーダも長い歴史に裏打ちされている。タイの伝統医療にも数千年の歴史が必要だったのだ。

ということは、50年前にはシワカもオンナモも認知されていたなかったことになる。何だかがっかりだが、だからと言ってシワカやオンナモを全否定する気は毛頭ない。これらはタイマッサージ師の心身の健康を保つ上で非常に重要な役割を果たしているからだ。もちろんタイマッサージを受ける人にもいい影響を与える。

「信じるものは救われる」

なんだ、プラシーボ効果か、と思われるかも知れないがそれ以上である。タイマッサージの極意は施術者が疲れないにある。肉体的に疲れない工夫だけでなく精神的にも疲れないことが重要だ。そのためには決して一生懸命自分のエネルギーを注ぎ込んではいけない。シワカ、あるいは宇宙のエネルギーをいただいて、その力に頼ることが大事で、自分は単なる媒介として無意識になってしまう。タイマッサージを始める前の合掌はそういう精神状態になるトリガーとなる。

たかだか50年前に考案されたキャラクターではあるが、嘘から出た誠。シワカもオンナモもタイマッサージの一部としてなくてはならないものになった。それは決して悪いことではない。

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (3449)

タイマッサージの起源

カテゴリ : 
タイマッサージの歴史
執筆 : 
camel 2008-10-24 14:14
タイのマッサージスクールに行くと必ず目にするシワカ・コモラパの肖像画。マッサージの創始者とされる釈迦の主治医である。タイマッサージの起源は2500年前のシワカ・コモラパであると信じられている。

「タイ・マッサージの民族誌―「タイ式医療」生成過程における身体と実践」という本がある。

この本によると、タイマッサージの起源は、実はそれほど古いものではない。

2004年2月8日放送のTBS「世界ウルルン滞在記で「タイマッサージの総本山、アユタヤ」と紹介されたことに対して「ワットポーが総本山じゃないの?」と言う批判をよく聞いたが、実はアユタヤはタイマッサージの歴史において非常に重要で、アユタヤに伝わったマッサージがタイマッサージのルーツというのが学術的な見方である。もちろん、現在のアユタヤがタイマッサージの中心というわけではない。

2500年の歴史は大げさだが、マッサージが各地で脈々と伝えられてきたのは事実である。医療と言えば薬草を飲むかマッサージをするくらいしかない時代が長く続いていたのだ。それら土着的な伝統医療がアユタヤ王朝で体系化された。それがタイマッサージのルーツである。しかしながら、現在行われているタイマッサージはアユタヤのマッサージそのものではない。アユタヤから更に時代が下り、ワットポーに残された壁画が指圧ポイントの基準となっている。

ストレッチは全く別の起源を持つ。王室や寺院で伝えられてきたマッサージは主に指圧、手掌圧である。ストレッチは「隠者の体操」すなわちルーシーダットンが起源であり、それは地方の土着的な修行僧やマッサージ師によって仏教と大きくかかわりながら発展してきたものである。身体の色々な場所を密着させたり、足で踏みながら伸ばすのが特徴になっている。

現在、タイで行われているタイマッサージは、これらの複数の起源を持つマッサージを複合、編集したものだ。例えば、ワットポーのマッサージスクールで教えているBASICマッサージは、1991年にワットポー協会長が18人の講師と共に古くから伝わるマッサージの理論・手技の中から、10のセン、簡便な技法、ストレッチは安全で効果があるものだけを残し、それ以外は削除したものである。あまり知られていないことだが、ワットポーのタイマッサージはほんの17年前に開発されたものなのである。

続く

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (3754)
見学・体験
ブログ-タイマッサージの真実
お問い合わせ
メンバー・ログイン
お勧め参考書、CD
ランダム表示

DVDつき 心と体を癒す手のひらマッサージ―(社)日本フィトセラピー協会認定 ハンドケアセラピスト認定講座教科書
サイトおすすめ


タイ語レッスン初級〈1〉 (マルチリンガルライブラリー)



タイマッサージ・ストレッチ200



タイマッサージ・バイブル―ワットポースタイル



タイマッサージバイブル ワットポースタイル フット&レッグ編 [DVD]



タイ・マッサージ―微笑みの国からの贈り物



タイ・マッサージ [DVD]



すぐわかる! すぐ使える! トリガーポイント療法 関係する筋肉を理解すれば改善できる



タイマッサージバイブル ワットポースタイル フット&レッグ編 [DVD]



タイ古式マッサージ 中島史恵の毎日スッキリ! [DVD]